有松・鳴海絞りは、400年前にこの土地に移り住んだ人々にとって開かれた生きる知恵でした。
平地が少なく耕作に向かないこの地で生活を営むために、
東海道を往来する人へのお土産として絞り染めは生産・販売され始めました。
絞り染めは、さまざまな工程で有松やその周辺に住む人々が関わり、面的な賑わいを生む産業と言えます。
たくさんの染色技法が開発され繁栄期もありましたが、戦後の大量生産・大量消費を背景とした暮らしの中で、
『伝統』に頼りきった展開は当時に比べて魅力的なものではなくなっていきました。

しかし、絞りまつりには現在もたくさんの来場者が訪れ、
国際的なネットワーク間で技術者や研究者の交流が行われています。
伝統を体感する機会ではありますが、短期的で限定的かつ受動的です。
『伝統』が与えるイメージがクローズドで新しいことを拒んでいるようにも映ります。
クリエイターなどが能動的に有松で出来事を起こそうとしても
参加の手がかりが見えないため、離れていってしまう。
多くの伝統産業が抱える課題である 「関係者の縮小」は、有松とて例外ではありません。

ARIMATSU PORTAL; PROJECTでは、新たな関係や環境のデザインを通して、
創造的町・アリマツへの入り口(ポータル)を築くこと―を目的に
4名のクリエイターによって結成されたプロジェクトです。
見落とされがちな自分たちの働き方や暮らし方を調査・共有します。
生産と消費という関係の狭間に無数にある関係を拾い上げることで、
コラボレーションや知識・技術の継承が行われる可能性を探る試みです。